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まず、アパート取得のもっとも簡単な態様といえる「相続による取得」の場合について考えてみましょう。
いうまでもなく相続とは、人の死亡を原因として、被相続人(死亡した人)の財産(権利・義務)が相続人に必然的に承継されることをいいます。したがって、相続を原因として取得したアパートの名義は、取得した相続人の名義になるのは当たり前ですが、相続人が二人以上の場合は、誰がそのアパートを相続するのかを決めるのは簡単ではありません。
遺言書がある場合は、遺言書で指定された相続人が取得することになり、アパートの名義も当然その相続人になります。遺言があっても、指定された相続人が受贈を拒否すれば,相続人間の遺産分割協議によることもできます。
遺言書がなく相続人が二人以上の場合は、相続人間の協議によりアパートを取得する人を決めることになります。このように遺産の分割を協議して決めることを「遺産分割協議」といいます。
二人以上の相続人がアパートを取得することは、一人で相続する場合の単独所有(単有)に対して、いわゆる共同所有(共有)と呼ばれます。
相続人が一人しかいないときは、もちろんその相続人の名義になるのは当然です。 さらに相続には、プラスの財産(積極財産)だけでなく、借金のようなマイナスの財産(消極財産)もあります。現実には少ない例とはいえ、後者が前者を上回ることもあり,その場合には相続人は相続を放棄するか(相続放棄)、あるいは積極財産の限度においてのみ借金に対する責任を負うことを選択するという相続の仕方(限定承認)もあります。
このような例外を除くと、相続によるアパートの取得は、いずれも時間がかかる遺言の執行や分割協議を経てはじめて、取得した相続人そのものの名義となります。そういう意味で、話がまとまりさえすれば簡単だと申し上げた訳です。
また、遺産分割協議を終え、相続登記をしたあとで、協議をやり直して名義を変える場合は、新たに「贈与税」課税の問題が生じますのでご注意ください。
なお、相続によりアパートを取得した場合は、アパートの取得費(相続時の相続税評価額*1ではないので要注意)も所有期間も引き継ぐことを覚えておいてください。
計算例を用いて説明すれば次のようになります。 |
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〈計算例〉 |
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(1)被相続人がアパートを建築した時点 平成6年7月1日 |
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(2)建築費 3000万円 |
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(3)減価償却 耐用年数27年 定率法 |
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(4)相続開始日(死亡日) 平成16年6月30日 |
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(5)平成16年6月30日現在の未償却残高(計算略) 1270万円 |
| イ. |
相続開始日現在のアパート(貸家)の相続税評価額は
(6)1350万円×(1−0.3)=945万円 |
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| ロ. |
相続人のアパートの取得費 |
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(5)1270万円 |
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| ハ. |
相続により取得したアパートの減価償却方法
平成10年4月1日以後に取得した建物であるから、定額法しか採用できない。 |
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(注)平成10年4月1日以後取得の建物の減価償却方法は、取得の原因が新築、購入、相続、贈与を問わずすべて定額法によることとされた。 |
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| ニ. |
相続により取得したアパートの耐用年数
この場合の耐用年数は中古資産の耐用年数を用いることになる。 |
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| a. |
残存耐用年数を見積もる方法
法定耐用年数から経過年数を控除した数(この場合は17年)を採用しても税務署が認めているケースもあるが、一般には次のb.によって算出している。 |
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| b. |
残存耐用年数を早積もることが困難な場合の簡便法 |
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法定耐用年数の全部を経過したもの |
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法定耐用年数×0.2=中古資産の耐用年数 |
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法定耐用年数の一部を経過したもの |
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法定耐用年数−経過年数×0.8=中古資産の耐用年数 |
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27年−10年×0.8=19年 |
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(注)「残存耐用年数を見積もることが困難な場合」とは、その見積もりのために必要な資料がないため技術者等が積極的に特別の調査をしなければならない場合や、耐用年数の見積もりに多額の費用を要すると認められる場合をいう。 |
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*1.相続または贈与の場合に用いられる建物の評価は、固定資産税評価額です。一般に、建築費の半分くらいです。さらに、アパートや貸しビルなどの賃貸建物は、借家権30%相当分を控除します。例えば、建築費3000万円であれば、固定資産税評価額は約1500万円、さらに借家権30%を控除するので1050万円となります。もっとも固定資産税評価額は経年減価しますので、経過年数が長くなればなるほど低下していきます。 |